こんにちは。Tomoです。
料理人がこれからの激動の現代を生き抜くために必要な力、自分の中の引き出しを増やすための情報を発信していきます。
今日はカルボナーラについてお話したいと思います。
これを読めばカルボナーラについてかなり詳しくなると思います。
カルボナーラという料理を科学的に数値化しながら説明していきますので、体系的に理解していただけると思います。
そもそもカルボナーラってどういう料理なの?
カルボナーラはイタリア ラツィオ州 ローマの伝統料理です。
イタリア伝統料理の教科書とも呼べる
『Le Ricette Regionali Italiane /Anna Cosetti della Salda』
によると材料は
スパゲッティ、グアンチャーレ、卵、パルミジャーノ、ペコリーノ、ニンニク、塩、黒胡椒、ラード(バター、オリーブオイル)
とあります。
現在日本においては
パスタ(スパゲティ、ペンネ等色々)、
パンチェッタorグアンチャーレorベーコン、
卵、チーズ、黒胡椒
これらが入っていればカルボナーラと呼べると思います。
語源から読み解いていくと
Spaghetti alla Carbonara
carbonaraとは薪から木炭をつくる炭焼き職人のことで、
もし炭焼き職人がパスタを作ったら炭が落ちてお皿に入る。
黒胡椒が炭のように見えるところから炭焼職人風スパゲッティ→スパゲッティ カルボナーラとなったと言われています。(諸説あります)
それではそれぞれのタイプ別にメリットデメリットを上げながら見ていきましょう。
カルボナーラの種類① トロトロクリーミータイプ
こちらは一番認知度が高いタイプだと思います。
大人から子供まで誰でも食べやすく、ある程度時間が経っても固まりにくい、
作る時に失敗しにくいという利点があります。
ソースがクリーム状という事は玉子以外に水分が入っているという事で、
多くは生クリームかパスタの茹で汁だと思います。
本来玉子の凝固温度は65℃〜70℃ですが水分を加える事で卵液(玉子+水分)
の凝固温度は高くなります。
したがってパスタと卵液を合わせて加熱した時の凝固温度への到達温度帯が長くとれるため玉子により多くの水分を加えたほうが失敗しにくいのです。
生クリーム入りのカルボナーラの方が失敗しにくい理由はこのためなのです。
反面、本来味の構成要素である主素材、特に玉子が他の水分によって薄まるので味は薄くなりバランスが崩れてボケた味(ここでは塩分でのボケた味では無く、素材本来の味においてという意味です)になりやすいのです。
カルボナーラの種類② 濃厚タイプ
こちらは①の水分を少なめにしてパスタにソースがよく絡むように仕立てたタイプです。
レストランでは一番多いのではないでしょうか。
こちらは濃厚なソースがパスタによく絡むので、食べた時のインパクトを残しやすい利点があります。
こちらは玉子+水分を少し加えることで玉子に流動性を持たせ、全体の温度を均一に上昇させることで濃厚なソースにします。この時の卵液の温度は81〜85℃くらいになります。
ソースをギリギリまで加熱するのでコツを掴むまでは少し難しいかもしれません。
反面、余熱で加熱が進み状態がすぐに変化するので、早く食べていただく必要があります。
お話に夢中で食べる頃にはフォークでパスタ全体が持ち上がってしまうなんてことも。。。。。
カルボナーラの種類③ ソース少なめタイプ
こちらは水分をできるだけ除き、玉子や主素材の味を強く前に出すタイプです。
トータル的に素材の味がそれぞれ立ってくるので、より良質な材料を使う必要があるでしょう。
玉子も水分の多い卵白は除き、卵黄のみを使います。
(ニンニク)、グアンチャーレを炒め、
茹で上げたパスタと和える時点で卵黄以外はこれ以上加熱の必要はありません。
水分の少ない卵黄を加えて火にかけてしまうとすぐに固まってボソボソになってしまいます。
加熱の必要がない。つまりこれ以上加熱したくないので炒めたフライパンからボウルに移し余熱を断ちます。
そこに茹で上げた熱々にパスタと卵黄、チーズを加えてすぐに混ぜます。
この時にパスタの持っている保有熱で卵黄が加熱されます。
この時仕上がりの卵黄の温度は65℃を目指します。(実際に測ることはしませんが、この温度が卵黄がゲル化、トロリとしてパスタと良く絡む温度なのです。)
卵黄は常温に戻す、パスタと卵黄の量のバランスを正確にする、等細かい準備と気遣いが必要です。
かなり細かい部分まで突き詰めなければ美味しいカルボナーラになりませんので難易度は高いと思います。
カルボナーラの種類④ 炒り卵タイプ
こちらは珍しいタイプですが、実際にイタリアのお店で出てきます。
②の濃厚タイプの加熱しすぎバージョンとでも言いますか、日本のお店で出したら『なんだこれ、失敗したのか?!』と言われかねません。
提供するには、しっかりとした理念と説明が必要になってきます。
意外に思われるかもしれませんがこのタイプ、美味しいんです。
一時期、シンプルなパスタの上に目玉焼きとチーズがかかった料理をよく見かけましたがあれに近い味わいになると思います。
イタリア人は今でこそ半熟卵を食べますが以前は完全に火の入ってない玉子は嫌がったそうです。
そこから由来しているのかなと推察します。
まとめ
カルボナーラひとつとってみても作り方、出来上がり、味わいは様々です。
イタリア料理はマンマの料理と言われるように、同じ名前の料理でもお母さんの数だけレシピがあってどれもイタリア料理なんです。
日本で肉じゃがに正解、不正解はないですよね?
正解を求めるのではなく、base(基礎)をしっかりと理解した上で、何故そうするのか?どうしたいのか?を言語化できる能力がこれからは必要になってくるとおもいます。